日本が世界に誇る伝統文化「茶道」とは?その魅力や大切な心得をご紹介

日本の伝統文化である茶道は、おもてなしの心や日本の生活文化の粋に触れられる、美の世界が詰まった文化です。しかしながら、茶道というと、難しい作法や決まりがあってお固いものとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は茶道初心者の方に、茶道とは何かをはじめ、その魅力や楽しさ、茶道の大切な心得である「四規七則」について分かりやすくご紹介致します。

1.茶道とは?

茶道とは?

茶道とは、「日本の伝統的な様式に則って、亭主が客人にお茶を点(た)て振る舞い、客人は亭主のおもてなしを受けお茶をいただくこと」を言います。 しかしながら、茶道は単にお茶を入れて飲む事を楽しむだけではありません。茶道具の工芸、造園、建築、床の間に掛ける掛物の書、振舞われる料理や和菓子の食、飾られた花、おもてなしの点前作法など幅広い分野が融合した、総合芸術とも言えるのです。

2.茶道の魅力・楽しさ

茶道の魅力は、お抹茶を味わうことはさることながら、人と人との一期一会の交流ができるところにあります。狭い茶席で長い時間を過ごす中で、初めての出会いから親しくなれるのは、お茶を通じて人と人の交流が生まれるからです。時間を忘れてゆっくりしたその場の雰囲気に浸ることで、客同士はもちろん、亭主と客も心を開いてお話できます。 もっとも、そのような場を楽しむには、茶道の祖である千利休が説いた「四規七則」を心がけることが大切です。「四規七則」とは何なのか、次の節で詳しく解説致します。

3.千利休が説く茶道の心得「四規七則(しきななそく)」

四規七則とは、おもてなしの心を表す「利休七則」と茶道の精神を表す「四規」を一つに合わせた言葉です。

3-1.四規の心構え – 和敬清寂(わけいせいじゃく)

四規とは、和敬清寂のことを表し、この4文字に全てのお茶の心が込められていると言われています。

<和> 心あたたかく仲良く和やかにいること
<敬>
お互いを大切に思い、尊び敬いあうこと
<清>
目に見える清らかさだけでなく、心も清らかに美しくいること
<寂>
何事にも乱されない、どんな時にも動じない心

和敬清寂は、亭主と客人がお互いに心を和らげ謹み敬い、茶室の品々や雰囲気を清浄に保つことを意味します。人と人、人と物そして物と物が互いに尊び合い、その心で人生を味わい深く豊かに、安らかに過ごせる橋渡しになるような大切な言葉となっています。

4.おもてなしの心得 – 利休七則

次に、七則について詳しく見ていきましょう。利休七則とは、千利休によって説かれた客人をもてなすときの大切な7つの心構えを表す言葉です。 一則 茶は服のよきように点(た)て 二則 炭は湯の沸くように置き 三則 夏は涼しく、冬は暖かに 四則 花は野にあるように 五則 刻限は早めに 六則 降らずとも雨の用意 七則 相客に心せよ

4-1.茶は服のよきように点て

服は「飲む」、よきようには「良いように」、点ては「茶筅(ちゃせん)で泡立てること」です。茶は服のよきように点てとは「飲む人がおいしくいただけるようにお茶を点てなさい」という意味です。お茶の味と気遣いの心を客人に味わっていただくというおもてなしの心を表します。

4-2.炭は湯の沸くように置き

おいしいお茶を点てるには、火加減とお湯の温度が大切です。ちょうど良い湯加減を保つためには、ただ火を起こすだけでなく、上手な炭の置き方を考える必要があります。転じて、「物事の本質を見極めることが必要だ」と利休は教えています。

4-3.夏は涼しく、冬は暖かに

茶道では季節感や自然の恵みを大事にします。寒い日にはお部屋をあたたかくして、温かいお茶やお料理をお出しし、暑い日はその反対です。このように季節感の調和も茶道の大切な心得の1つになります。

4-4.花は野にあるように

茶室のお花は、花の本来の美しさを引き出し、与えられた生命を十分に生かしなさいという意味です。 そのまま置くのではなく、花の特徴や魅力を引き出すことが、その花の命を尊ぶことに繋がると利休は教えています。

4-5.刻限は早めに

刻限は早めにとは「時間にゆとりを持ちなさい」という意味です。ここで述べられているゆとりというのは「時間を尊重する」ということを表しています。「自分自身のゆとりを大切にすることはもちろんのこと、相手の時間を尊重することも大切だ」と利休は説いています。

4-6.降らずとも雨の用意

どんな時も不足の事態に備え、準備することが茶人の心がけであることを意味します。何が起きても客人に余計な心配をかけぬよう、適切に応じられるようなやわらかい心を持つことが大切です。

4-7.相客に心せよ

最後は客人に対する心得になります。相客というのは茶席で同席した自分以外の客という意味です。一期一会の精神で客同士がお互いに敬うことで調和が生まれ、全ての人にとって特別な時間となります。「互いに尊重し、楽しいひとときを過ごすようにしなさい」と利休は説いています。 このように利休七則で説かれている亭主と客人との気配りは、現代の日常生活にそのまま活かせるのです。

5.まとめ

まとめ

茶道によって演出された空間の中で、人と人との交わり、「一期一会」を通じてお互いを敬い理解する感性も磨かれていきます。一服のお茶は、至福の時間を作ってくれるでしょう。 実は、特別な稽古をしなくても茶道の「客」になることはできます。しかし、もし本当に茶道を味わいたい場合は良い師匠について稽古をする必要があります。亭主と客人が「四規七則」という茶道の心得を守り、互いに修練を経るからこそ、亭主の心入れを味わい楽しめるのです。 茶道裏千家「百華の会」では、初心者から上級者まで個人の要望、レベルに合わせたカリキュラムを組み裏千家直門が丁寧にご指導いたします。まったくの未経験者でも茶道を一から学べますので、ご興味がある方は百華の会へお越しくださいませ。皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております。