日本の伝統美といわれる茶道で着物を着る!そのルールを解説!

幽玄という言葉をご存知でしょうか。趣深く味わいが尽きないという意味です。日本の伝統美を誇る茶道は、まさに幽玄の美に値するものでしょう。茶道の席では、日本伝統の衣文化の象徴である着物を着用して、茶を点て、客人も着物姿でお点前をいただきます。そんな茶席ではどんな着物を着用すればよいのか、日本人として知っておきたい、茶道の着物のルールについて解説します。

1.茶道の時に着る着物の種類

茶道の時に着る着物の種類

日本独自の美意識を象徴する茶道は、決められた作法で抹茶を点てて、客人をもてなします。単にお抹茶を楽しむだけではありません。 客人をもてなす点前の作法、茶道具など芸術的な要素が集結した、日本の文化の中でもとくに崇高な文化として、長い歴史を経て今に至ります。 和の行事には欠かせない着物も、日本の衣文化を象徴する衣装です。着物は相手を敬い、礼を尽くす装いとして、茶道の席に相当する装いとされてきました。 現代では、洋服で茶席に参加される方もいらっしゃいます。しかし、本来は、日本が大切にしてきた美意識に合う装いの着物で、お点前をいただくのが喜ばしいとされています。

1-1.茶道の時に着る着物は柔らかい着物!

茶道をたしなむと、茶会への招待も増えます。また茶席へ招待されるということは、最高のおもてなしを受けるということでもあり、大変喜ばしいことです。茶会の時に着る着物は、開催の時期や趣旨を考えて選ぶ必要があります。 着物は大きく分類すると、染めものの柔らかい着物と、織物のかたい着物があります。茶道の場では、柔らかい着物を着用しましょう。 着物には「格式」があり、一般的に、柔らかい着物はフォーマルタイプ、かたい着物はカジュアルタイプとされているのです。 どんなに高価な紬の着物であっても、かたい着物は、カジュアルな装いに見られてしまいます。たとえば洋装で言うなら、十数万円というビンテージのジーンズでも、ジーンズはジーンズでありドレスコードのあるレストランには、不向きな装いであるという感覚と同じです。

1-2.柔らかな着物の中でも茶席の格によって柄などを選ぶ

茶道では、作法の動きの美しさも、魅力となります。そのため柔らかな着物は、身のこなしがしやすく、茶道の道理に合った着物なのです。 ただし、フォーマルとされるこの着物も茶席によって、華やかな訪問着また気軽な茶席であるならカジュアルな小紋などと、その中でもさらに格付けを考えて着用します。

1-3.亭主とお点前を受ける側の着物について

おもてなしをする亭主と、点前をいただく客人は、立場によって、それぞれふさわしい着物が異なります。 おもてなしをする亭主は格の高い着物を着用します。また格の高い茶会では、お点前をいただく客人も、格の高い人とそうでない人がいるのです。 茶会の着物を選ぶ際は、自分の立場を考えて亭主やその場の一番格の高い客人よりも格上の着物を着用せず、控えめにする配慮が必要です。

2.茶道の時に着用する着物のルール

絹糸で白生地を織ってから、色を染めた柔らかな、フォーマル用の着物の中にも、格と種類があります。ここからは茶道において、その選び方のルールを解説していきましょう。

2-1.茶道を心得るなら1枚は持っておきたい白無地の着物

茶道では、柄のない色無地の着物は、着用のルールに柔軟に対応できるので、1枚持っておくこと便利です。 白無地は、「侘び・寂び」という美意識を根底とする、茶道の精神に結び付くところがあります。また白無地は地味というわけではありません。 きれいな光沢をもち、模様が浮き上がって見える地紋が織り出される「綸子(りんず)」や、「緞子(どんす)」は、とても華やかな印象の着物です。帯の選び方で、普段のお稽古にも、また格の高いお茶会にも着用できます。華やか過ぎず、地味でもないオールマイティーの着物です。

2-2.夏は透明感のある絽や紗などの着物

夏の茶会では、透明感のある生地の、「絽(ろ)」「紗(しゃ)」「羅(ら)」といった、夏用の着物を着用します。 見た目も涼しく、相手を持て成す心、持て成される心という、茶道の心得に精通した装いとなります。 たとえば洋服では、夏に麻素材のものが涼しいとすすめられます。しかし、着物で麻はカジュアル用とされているため、どんなに値段が高価であっても茶道ではこの季節の着物には向きません。

2-3.茶道における着物の柄は季節感を重視

着物に描かれた文様には、自然の美しい風景が描かれています。茶道では季節感を重んじるので、その季節の動植物の柄が入った着物もおすすめです。 ・春なら桜、鶯、牡丹など ・夏なら紫陽花、菖蒲、蜻蛉など ・秋なら桔梗、萩、鹿など ・冬なら菊、南天、松など

2-4.初釜などは吉祥文様の着物を!

茶道を習っていると、着物の文様にも目が向くようになります。文様はそれぞれ季節感や意味があり、日本の美意識の知識も広がります。 たとえば新年の初釜では、縁起がよい吉祥文様の着物がおすすめです。伝統柄のいくつかを下記にご紹介しますので、茶道の着物選びの参考になさってください。 ・吉祥文様 (縁起がよくめでたい文様):亀甲、七宝など ・有職文様 (貴族の間で定着した伝統的な文様):菱文、丸文など ・正倉院文様 (奈良・正倉院に伝わる文様):孔雀、獅子など

3.まとめ

まとめ

茶道をたしなみ、お稽古でも着物を着ると、知らぬ間に背筋が伸びる、凛とした緊張感を感じます。その緊張感は、仕事で感じる緊張感とは違い、壮快さのある緊張感です。季節やお茶会の雰囲気に最適な着物選びができるようになると、茶道のお稽古にもますます気が入ることでしょう。 茶道というと、敷居が高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。東京銀座の茶道教室の「百華の会」では、初心者から上級者まで、日本の「おもてなし」の心を学びたいという方であれば、どなたでも歓迎致しいたします。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。