茶道の作法は難しいもの?日本人として大切な茶道の作法が意味する事

茶道は、作法が多く定められていますので、一般に「どうやっていいかわからない」「堅苦しそう」「緊張して味わえないかも」などと感じる人が多いと思われます。しかし、それを事前に学び、流れや意味を理解しておけば、そこまで難しくはありません。むしろその所作まで楽しめるようになると、茶道のもつ感覚が自分のもとできるでしょう。この記事では、茶道における作法について紹介します。

1.茶道における作法

まとめ

着席から茶菓子やお茶を味わうことなど、さまざまな点での作法があります。それをひとつひとつ紹介してまいりましょう。そこにはものの見方や他者への心遣いなどにあふれた、非常に意味のこもった、奥深い世界が広がっています。以下にそれぞれの点での作法や意味について学んでいきましょう。

1-1.茶室内での座り方

会を催す亭主、主賓の正客、以下次客、三客、お詰めという順となります。茶会は正客が進行し、回した茶道具をお詰めが片付けるという役割を行います。正客やお詰めはそのような特別な役割を担いますので、これらは茶道の経験者が選ばれる傾向にあり、亭主が指名するのが普通です。初心者は三客がおすすめです。

1-2.お茶のたて方と飲み方

ここからは、基本的なお茶のたて方と飲み方の作法についてまとめましたので、参考にしてみてください。

■お茶のたて方
お茶…ダマができないように、事前にふるいにかけておきます。 お湯…一度沸騰させたものを、80℃くらいに冷ましておいたものを使います。 手順…①抹茶1~2gを茶杓(ちゃしゃく)で茶碗に入れます。 ②柄杓(ひしゃく)でお湯を60~70mLほど注ぎます。 ③茶筅(ちゃせん)でお茶を攪拌します。 裏千家では茶筅を強めに動かして泡立たせるようにするのに対して、表千家では茶筅を静かに動かして泡立てないようにします。

■お茶の飲み方
①お茶を点ててもらったら、「お点前頂戴いたします」とあいさつをし、右手で茶碗を持ち、左手の手のひらに載せます。 ②茶碗を90度ほど右手で回し、お茶を飲みます。最後は泡を残さず、音を立ててすすり、飲み切るのが、良いお茶の飲み方です。 ③飲み終わったら、茶碗の縁の飲んだ部分を指でなぞり、懐紙で指を拭きます。 ④茶碗の絵柄を鑑賞します。 ⑤最後に茶碗を置くときは、正面を亭主側に向けます。

1-3.お菓子のいただき方

お菓子は、お茶の前にいただきます。 ①「お菓子をどうぞ」と促されてから取ります。その時、「お先に」と言って取るのが良いでしょう。これは「お先に頂戴します」という意味で、同席している方々への気配りを表します。 ②菓子器にある箸で懐紙にお菓子をのせます。 ③お菓子を取った箸を懐紙で拭いてから元の位置に戻し、下座へ回します。 ④正客がお菓子を口にした後、楊枝でお菓子を切って食べます。

2.服装についての作法

ここからは、服装の作法についてもご紹介していきます。

2-1.着ていく服

和服のイメージがしますし、それが雰囲気に合っているのですが、洋服でもいいでしょう。男性ならスーツ、女性ならワンピースやブラウスでも十分です。露出度は高くないもので、靴下は白を履くべきだといえるでしょう。

2-2.アクセサリー類はつけない

時計・指輪などのアクセサリーは、茶碗を傷つける危険性もあります。そのようなものを外して茶室へ入ります。それよりもその部屋の雰囲気を尊重しなければなりませんし、他人に不快感を与える行動や身なりは慎むべきです。その点でアクセサリー類や派手な格好は適しません。

3.茶道の作法に込められた意味

茶道といえば「作法が多い」というイメージを持つ人が多いでしょう。それが「ハードルが高い」と感じてしまう原因です。けれども、その中にある茶道の「考え方」を知る事は私たちにとって有益な事です。これを知ることで、作法の大切さに気付くことができます。それでは、茶道の作法に込められた意味について紹介してまいります。

3-1.無駄をそぎ落とす

作法という言葉は、国語辞典によれば「① 物事を行なう方法。仕方。やりかた。② 立居ふるまいの仕方。」とあります。お茶を楽しむということにとどまらず、それらをする上でより無駄な事をそぎ落としていくという経緯の中で、それらがエッセンスの集まりとなったときに、茶道の本質が確立されました。 たとえば、室内で客人はおしゃべりなど基本しません。お辞儀などの所作でそれはカバーされました。茶室でしゃべるという行為が、茶室の雰囲気を楽しみ、お茶の味を堪能するのに邪魔だと考えられたからです。そして静かにすることによって、お湯を沸かすときの吹き出し音やお茶を点てる様子の美しさを引き立たせることもできます。

3-2.同席者への配慮

先ほど紹介した、お菓子やお茶をいただくときにかける「お先に」などの言葉も、相手の方への配慮からきた言葉でした。また、しゃべる行為を極力排除した結果、お辞儀や上品な振る舞い、タイミングなどに意識をして、他の人に回したり順番を譲ったりするなど、同席の方が快適に自分の番での行動ができるようにするという気遣いが必要となりました。いわば「空気を読む」という行動です。その行為が日本人の美徳とされましたが、これは「人を慮る(おもんばかる)」ことが国民性となるくらい、日本人には受け入れやすい考え方だったのでしょう。 また、その配慮は亭主や正客、または振る舞いの役の人に対する敬意にもつながってきます。 作法といえば「義務的なもの」「堅苦しさ」を連想しがちですが、茶道における作法はそこからもっと前を行って、「周りの雰囲気を良くするため」「この会を催してくださった方への感謝のため」「同席する方が気持ちよく自分と同じようにお茶を楽しめるため」という精神に発展しています。そこに茶道の魅力があるのです。

4.まとめ

まとめ

茶道は多くの作法の伴ったものです。それをひとつひとつ体得していき、お茶を楽しむ領域まで成長すると、洗練された世界が広がるのでしょう。茶道で大切にしている考え方は、実は社会生活を行っている私たちには日々課せられている事ではないでしょうか。人として大切なその精神を、忙しい世界から、茶道という非日常空間へと移って体験できる、それが茶道の魅力なのです。 「百華の会」は、気軽に茶道の世界を体験していただける茶道教室です。楽しみながら茶道の世界に挑戦してみませんか。皆様のお問い合わせをお待ちしております。